タンカン通販よもやま話①「タンカンの栽培 – 1年間の栽培育成」

タンカン通販よもやま話①奄美大島の地図

タンカンの栽培方法 ― 奄美大島の自然とともに育つ柑橘

タンカンは鹿児島県・奄美大島を代表する柑橘で、みかんとポンカンの自然交雑によって生まれた果実です。甘みと酸味のバランスに優れ、果汁がたっぷり含まれているのが特徴で、毎年2月から3月にかけて旬を迎えます。
しかし、この美味しいタンカンが食卓に届くまでには、年間を通して細やかな栽培管理が必要です。奄美の温暖な気候を生かしつつ、農家は草刈りや摘果、肥料の施し方、剪定など、多くの作業を繰り返しています。ここでは、その栽培の流れを時系列で詳しくご紹介します。


【5月】 草刈り ― 雑草との戦いの始まり

奄美大島の5月、平均気温は約26℃。南国らしい強い日差しの中で、畑には雑草が一気に伸び始めます。タンカンの木にとって雑草は大敵で、養分や水分を奪い取るだけでなく、病害虫の温床になることもあります。そのため、農家は草刈り機や鎌を使って畑全体の草を丁寧に刈り取っていきます。

タンカン通販よもやま話①【5月】 草刈り ― 雑草との戦いの始まり

この作業は見た目を整えるだけでなく、タンカンの木が健やかに育つために欠かせない大切な工程です。特に奄美では梅雨入りが早いため、雨で雑草が一気に勢いを増す前にしっかりと管理をしておくことが重要とされています。


【7月~9月】 草刈り・摘果 ― 果実の数を調整する

夏の盛りを迎える7月から9月にかけても、雑草は力強く伸び続けます。そのため、定期的な草刈りは欠かせません。農家は汗を流しながら、太陽の光と栄養がタンカンの木に行き渡るよう、何度も草刈りを繰り返します。

また、この時期に重要なのが「摘果(てきか)」です。タンカンの木は春にたくさんの花を咲かせ、その後に無数の小さな実をつけます。しかし、木の力には限界があります。実をそのまま残しすぎると、1つ1つの果実が小さくなり、味も薄くなってしまうのです。

タンカン通販よもやま話①【7月~9月】 草刈り・摘果 ― 果実の数を調整す

そこで農家は、枝ごとのバランスを見ながら、形の悪い実や傷のある実を落とし、数を調整します。この摘果によって、残された果実は十分な栄養を受け取り、のびのびと育つことができます。まさに「量より質」を重視した作業であり、美味しいタンカンを収穫するための第一歩です。


【10月~11月】 草刈り・肥料 ― 冬に向けて栄養補給

秋が深まる10月から11月にかけては、再び草刈りを行うとともに、木に肥料を与える大切な時期です。タンカンは果汁が豊富で甘みの強い柑橘ですが、その味を決めるのはこの時期の栄養補給にかかっていると言っても過言ではありません。

タンカン通販よもやま話①【10月~11月】 草刈り・肥料 ― 冬に向けて栄養補給

農家は土の状態を見ながら有機肥料や化学肥料をバランスよく施し、果実がぐっと甘みを増すように工夫します。奄美の土壌は火山灰質で水はけが良いため、肥料のタイミングを誤ると栄養が流れてしまうこともあります。そのため、天候や土の湿り具合を細かく観察しながら施肥を行うことが大切です。

この時期にしっかりと養分を補うことで、冬を迎える果実はぎゅっと濃厚な味わいに育っていきます。


【2月中旬~3月下旬】 収穫・出荷 ― 一年の集大成

いよいよ待ちに待った収穫の時期です。タンカンの果実は、他の柑橘に比べるとやや皮が厚めですが、その中にはたっぷりの果汁が閉じ込められています。朝一番の涼しい時間帯に収穫を始め、収穫後はすぐに選別作業を行います。

タンカン通販よもやま話①【2月中旬~3月下旬】 収穫・出荷 ― 一年の集大成

果実の色づきや大きさを見極め、傷のないものを選んで箱詰めし、お客様のもとへ出荷します。収穫期は農家にとって一年で最も忙しい季節ですが、それと同時に努力が報われる喜びの瞬間でもあります。台風や大雨に耐え、無事に育った果実を手に取ると、農家は安堵と誇りを感じるといいます。


【収穫後】 剪定・肥料 ― 来年に向けた準備

収穫と同時に欠かせないのが「剪定(せんてい)」です。タンカンの木は放っておくと枝が混み合い、日光が届きにくくなります。すると病害虫のリスクが高まり、果実の品質も落ちてしまいます。そのため農家は、不要な枝を切り落とし、木全体に光と風が通るように整えます。

タンカン通販よもやま話①【収穫後】 剪定・肥料 ― 来年に向けた準備

剪定はただ枝を切るだけではなく、翌年の実の付き方を見据えた大切な作業です。枝の角度や長さを計算しながら調整することで、木の負担を減らし、来年も美味しい果実を実らせることができます。剪定後には再び肥料を施し、栄養を蓄えさせて木を休ませます。まさに「次の年への仕込み」といえる工程です。


奄美の自然とタンカン栽培

タンカン栽培の背景には、奄美大島特有の気候と自然環境があります。年間を通して温暖で、冬でも平均気温が15℃を下回ることはほとんどありません。この気候が、タンカンの甘みと酸味の絶妙なバランスを生み出しています。

ただし、奄美は台風の通り道でもあります。夏から秋にかけての台風は、果実や枝を傷つけ、大きな被害をもたらすこともあります。農家は防風ネットを張ったり、枝を支柱で補強したりと、自然と向き合いながら工夫を凝らして栽培しています。


まとめ

タンカンが収穫されるまでには、草刈り、摘果、肥料、剪定といった作業が季節ごとに繰り返されます。それぞれの作業は地道で手間のかかるものですが、その積み重ねによって、濃厚な味わいのタンカンが育ちます。
奄美大島の自然の恵みと農家の努力が合わさって、ようやく私たちの食卓に届くタンカン。その一粒には、一年を通した栽培の物語が詰まっているのです。